「捺染摺」と「型染」について

日本の伝統的技法である「捺染摺」と「型染」の
技術を使用した手作業ならではの味わい


伝統的な特殊技巧である「捺染摺」と「型染」は、近代的な印刷方法と比較しても
染料が多く紙面にのり、より鮮やかな色彩で表現ができる手法です。
今回はその手法を使い、一度和紙に落とし込んだものをデータ化していますので、
線や色のゆらぎや紙の風合いなど、職人の手作業の精緻さをそのままお楽しみいただけます。

目次

捺染摺(なっせんずり)

捺染摺(なっせんずり)色ごとに型を変え、色を重ねて染め上げる技法です。
色に厚みを持たせることができ、奥行きがあり華やかな多色使いを表現できます。
千代紙に使われる技法のひとつです。

[動画] 捺染染めの技術を伝える

捺染摺(なっせんずり)ができるまで

一色ごとに版を変え、色を重ねて染め上げていく技法です。
色彩に厚みや奥行きが生まれることで、洗練された華やかな世界観を表現します。

①ずらりと並ぶ、まっさらな“版”。色彩に厚みをもたせるため、一色ごとに一つの版を使います。

②複数のインクを手作業で練り合わせ、職人の長年のカンと経験値で、イメージする色をつくります。

③「スキージ」というゴム製のヘラを使い、巧みな力加減で版にのせたインクを落とします。

④ 和紙に一色刷るたびに、丁寧に乾燥させます。

⑤ デザインに使用する色数に合わせて、同じ作業を重ねていきます。

⑥ インクが和紙に沁みこんでいくと、鮮やかな発色が浮かび上がります。

⑦ さらに、赤みの強いインクを版にのせ、色を重ねていきます。

⑧ 色を重ねるたびに奥行きが生まれ、洗練された色彩を表現できます。

⑨ このデザインは、4回色を重ねて完成です。


型染(かたぞめ)

渋型紙にて染めの型を作成し、「刷毛染め」「型染め」の2つの方法で手染めする
日本古来より引き継がれた伝統的技法です。
味と温もりが伝わる、色のぼかし・線のやわらかさをお楽しみいただけます。

[動画] 型染めの技術を伝える

型染(かたぞめ)ができるまで

渋型紙で染めの型を作成する、日本古来の伝統的な技法です。
図案に合わせて、「刷毛染め」または「型染め」の手法を使います。
色のぼかしややわらかさを活かした、味と温もりのある色彩が特徴です。

型染め

① 型紙にのせる「防染糊」。もち粉や糠などでつくられています。

② 型糊付けの作業。にじみに注意しながら、糊を引いていきます。

③ 和紙を乾燥させます。糊を置いたところは防染されていますね。

④ 手差し染めの作業。顔料と染着剤を混ぜたものを、職人が小さな刷毛を使って、丁寧に彩色します。

⑤ デザインに使用する色数に合わせて、同じ作業を重ねていきます。

⑥ インクが和紙に沁みこんでいくと、鮮やかな発色が浮かび上がります。

刷毛染め

① 今回は繊細なデザインに沿ってレーザーカットした渋型紙を使用しました。

② デザイナーのつくったイメージ図を参考に、職人が色をつくります。

③ 和紙の上に型をのせ、刷毛で彩色します。「やわらかさが彩色に適している」という理由から、秋口の鹿の毛を使った刷毛を使います。

④ 図案の細かさによりますが、A3弱のサイズの場合、40分~1時間ほどかけて仕上げます。

⑤ 多色の場合は、明るい色から順番に染めていきます。型紙をとり、乾燥させて完成します。

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