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温故知新が脈打つ、和紙やデザインと出合う場所
東京・日本橋の和紙舗「はいばら」

榛原の創業は、文化3年(1806 年)。
お店で扱っていた上質な雁皮紙(がんぴし。雁皮という植物を原料にして漉いた和紙)
が江戸で評判を呼び、以来200年以上にわたり、東京・日本橋で商いを続けています。

目次

【はいばら日本橋本店】ブランドムービー

今も昔も、人とモノが行き交う商いのまち・日本橋

江戸の開府とともに急発展し、日本橋川を中心に、交通と物流の要となった日本橋。
全国から商人や職人が集まり、にぎやかな町人文化が花開きました。
明治期には海外の新しい文化を積極的に受け入れ、大正期以降は関東大震災や太平洋戦争などのつらい経験を乗り越えて、東京の中心として大きく成長。
時代が変わっても、街のあちこちに江戸の文化や心意気が満ちています。

「東京名所 日本橋通り」聚玉文庫所蔵
「東京大震災実況 日本橋通り」聚玉文庫所蔵
幕末~大正期の「榛原」の店舗
昭和~平成初期の榛原ビルヂング

伝統とデジタルを融合し、現代に「江戸の美」を表現

創業当時から日本橋に拠点を置いていた榛原は、日本橋二丁目北地区の再開発によって、永代通りと中央通りが交差する角地に建つ「東京日本橋タワー」の敷地内に移転。
2015年に、店舗となる建物を新築しました。彫刻のような外壁が目を引く、重厚感のある黒い立方体の建物が、現在の「榛原」日本橋本店です。

建物を新築するにあたり、榛原がこだわったのは「伝統的な手工芸」と「デジタル・ファブリケーション」の組み合わせです。

「デジタル・ファブリケーション」とは

デジタルデータ化された設計図や画像をもとに、3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタル工作機器で、木材や樹脂などのさまざまな素材を用いて、ものづくりを行う技術のこと。

伝統的な手工芸と最新のデジタル技術が、どのようなプロセスで融合し、現代に「江戸の美意識」を表現することができたのか。その経緯をご紹介します。

新店舗建築プロジェクト、始動

2011年、日本橋二丁目北地区再開発に伴う新店舗建築プロジェクトがスタート。話し合いを重ねた結果、「新店舗を通じて、榛原が培ってきた伝統や江戸の美を現代にどのように伝えていくか」をコンセプトとしました。

外観のモチーフは、榛原創業時の「土蔵造り」と代表柄の「色硝子(いろがらす)」

建物の外観デザインには、“榛原らしさ”を表すものをモチーフにしたいと考えていました。そこで浮かび上がったのが、「土蔵造り」と「色硝子」です。
江戸時代の1806年に創業した当時、榛原の店舗は、「土蔵造り」という日本の伝統的な建築様式で建てられていました。また、榛原所有の千代紙デザインで、代表柄の「色硝子」は、さまざまな商品を彩る意匠として、多くのお客様に愛されてきました。
こうした経緯から、伝統的な「土蔵造り」と「色硝子」をモチーフに、新時代の技術を駆使した建物を設計・デザインしました。

瓦成型職人×煉瓦焼成職人×3Dデジタル金型加工による「3Dカワラブリック」

デザインの決定後、デジタル・ファブリケーションにより、「3Dカワラブリック」というデジタル技術のベースとなる立体的な金型加工を、設計・製作しました。

3Dデジタルソフトによる設計。
3DCGにて3Dカワラブリック形状設計
3Dデジタル金型加工。
3D工作機にて多面体の金型を製作

3D技術でできあがった金型は、瓦職人の手へと渡り、良質な「三河土」を用いて、多面的な土の塊へと成型していきます。土の塊はその後、煉瓦職人へと渡り、職人の焼成技術によって「土蔵造り」をイメージさせる色合いと風格、表情豊かな「色硝子」の味わいをそなえた「3Dカワラブリック」が完成しました。

煉瓦職人の手により、
三河土を100%使用して土練。
瓦職人による成型。3D加工された金型を用い、手作業で成形する。
煉瓦職人の手により、
ガス窯にて還元焼成する。

“いぶし銀”の佇まいが目を引く新店舗は、
グッドデザイン賞を受賞

職人技とデジタル技術の融合という革新的な工法に取り組む中で、乗り超えなければならない課題や、数多くの創意工夫が求められました。たとえば当初、瓦職人による成形作業は、なかなか安定せず、苦戦を強いられたそうです。
しかし職人たちは、立体的なデザインを保ちつつ成形が安定するよう、金型に工夫を施すなど、長年培ってきた知識と技術を駆使して、解決方法を見出していきました。
また、「土蔵造り」をイメージする、和風建築の風合いを出すために、職人たちは、伝統的な「いぶし瓦」の焼成方法を選択し、“いぶし銀”とよばれる、巧みの技を表現しました。

こうした伝統技術や職人の心意気により、時間による光の当たり具合で表情が変化し、多様な菱形文様が浮かび上がる、唯一無二の建物が完成。
2015年5月にリニューアルオープンした新店舗は、伝統と革新を兼ねそなえた存在として、2016年度グッドデザイン賞を受賞しています。

店舗・外観

榛原の代表柄「色硝子」をモチーフとした「3D カワラブリック」で構成された店舗外観は、時間によって多彩な表情に変化し
ます。入口にかけられる暖簾は、四季によってデザインを変えています。
榛原の代表柄「色硝子」。多くのお客様に愛されている「千代紙」や「蛇腹便箋」、「うちわ」など、さまざまな和紙商品にも使われています。
伝統的な「いぶし⽡」の焼成⽅法を駆使し“いぶし銀”とよばれる、巧みの技を表現した、特徴的な外壁

店舗・内装

外観だけでなく、店舗の内装にも、伝統的な技法とデジタル・ファブリケーション技術を組合せています。のれんをくぐると、店内正面にディスプレイされた、越前和紙職人による大判手漉き和紙と榛原の伝統大判千代紙が、お客様をお出迎えします。

店内の天井や什器などには、榛原伝統文様「色硝子」をモチーフとした3D デジタル加工による多面体レリーフ版を設置。(多面体レリーフ版は、パターンのデジタル設計及び3D 工作機によるデジタル・ファブリケーションにより実現しています)


受賞歴

2016年 グッドデザイン賞《受賞》主催:公益財団法人日本デザイン振興会
2016年 SDA賞 《入選》主催:公益社団法人日本サインデザイン協会
インテリアプランニングアワード2016《入選》主催:一般社団法人日本インテリアプランナー協会

アクセス・マップ

最寄駅日本橋駅
(東京メトロ銀座線・東西線、都営浅草線)B6出口直上
営業時間月曜日〜金曜日 10:00〜18:30
土曜日・日曜日 10:00〜17:30
休業日祝日、年末年始
所在地〒103-0027
東京都中央区日本橋2-7-1
東京日本橋タワー
連絡先tel. 03-3272-3801
fax. 03-3281-7992
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