日本の伝統的技法である「捺染摺」と「型染」の
技術を使用した手作業ならではの味わい
伝統的な特殊技巧である「捺染摺」と「型染」は、近代的な印刷方法と比較しても
染料が多く紙面にのり、より鮮やかな色彩で表現ができる手法です。
今回はその手法を使い、一度和紙に落とし込んだものをデータ化していますので、
線や色のゆらぎや紙の風合いなど、職人の手作業の精緻さをそのままお楽しみいただけます。
捺染摺(なっせんずり)
捺染摺(なっせんずり)色ごとに型を変え、色を重ねて染め上げる技法です。
色に厚みを持たせることができ、奥行きがあり華やかな多色使いを表現できます。
千代紙に使われる技法のひとつです。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some01@2x-8-1024x338.png)
捺染摺(なっせんずり)ができるまで
一色ごとに版を変え、色を重ねて染め上げていく技法です。
色彩に厚みや奥行きが生まれることで、洗練された華やかな世界観を表現します。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some10@2x-8.png)
①ずらりと並ぶ、まっさらな“版”。色彩に厚みをもたせるため、一色ごとに一つの版を使います。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some09@2x-8.png)
②複数のインクを手作業で練り合わせ、職人の長年のカンと経験値で、イメージする色をつくります。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some08@2x-8.png)
③「スキージ」というゴム製のヘラを使い、巧みな力加減で版にのせたインクを落とします。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some07@2x-8.png)
④ 和紙に一色刷るたびに、丁寧に乾燥させます。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some06@2x-8.png)
⑤ デザインに使用する色数に合わせて、同じ作業を重ねていきます。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some05@2x-8.png)
⑥ インクが和紙に沁みこんでいくと、鮮やかな発色が浮かび上がります。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some04@2x-8.png)
⑦ さらに、赤みの強いインクを版にのせ、色を重ねていきます。
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⑧ 色を重ねるたびに奥行きが生まれ、洗練された色彩を表現できます。
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⑨ このデザインは、4回色を重ねて完成です。
型染(かたぞめ)
渋型紙にて染めの型を作成し、「刷毛染め」「型染め」の2つの方法で手染めする
日本古来より引き継がれた伝統的技法です。
味と温もりが伝わる、色のぼかし・線のやわらかさをお楽しみいただけます。
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型染(かたぞめ)ができるまで
渋型紙で染めの型を作成する、日本古来の伝統的な技法です。
図案に合わせて、「刷毛染め」または「型染め」の手法を使います。
色のぼかしややわらかさを活かした、味と温もりのある色彩が特徴です。
型染め
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some22@2x-8.png)
① 型紙にのせる「防染糊」。もち粉や糠などでつくられています。
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② 型糊付けの作業。にじみに注意しながら、糊を引いていきます。
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③ 和紙を乾燥させます。糊を置いたところは防染されていますね。
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④ 手差し染めの作業。顔料と染着剤を混ぜたものを、職人が小さな刷毛を使って、丁寧に彩色します。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some18@2x-8.png)
⑤ デザインに使用する色数に合わせて、同じ作業を重ねていきます。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some17@2x-8.png)
⑥ インクが和紙に沁みこんでいくと、鮮やかな発色が浮かび上がります。
刷毛染め
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some16@2x-8.png)
① 今回は繊細なデザインに沿ってレーザーカットした渋型紙を使用しました。
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② デザイナーのつくったイメージ図を参考に、職人が色をつくります。
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③ 和紙の上に型をのせ、刷毛で彩色します。「やわらかさが彩色に適している」という理由から、秋口の鹿の毛を使った刷毛を使います。
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④ 図案の細かさによりますが、A3弱のサイズの場合、40分~1時間ほどかけて仕上げます。
![](https://museum.haibara.co.jp/wp/wp-content/uploads/2023/01/dc_some12@2x-8.png)
⑤ 多色の場合は、明るい色から順番に染めていきます。型紙をとり、乾燥させて完成します。