カード・はがき ~“浮き彫り”や“パール箔”にテンションが上がる、とっておきの手書き時間

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手書きのカードを書くために、なぜか外に出かけています

「あの人に、手書きのメッセージをしたためよう」とするとき、なぜかワクワクして、外に出かけたくなります。まるでピクニックにでも行くように、鼻歌なんか口ずさみながら机の引き出しを開け、文箱からカードやハガキをいくつか選び出し、持ち運び用クリアケースの中へ。万年筆やカラーペン、マスキングテープなどの文房具と一緒にトートバッグに入れたら、おでかけの準備OKです。

最近、よく出没するのは、家の近くにできたばかりの公共図書館や、すてきなご夫婦が切り盛りする古民家カフェ、サブスクで利用しているシェアオフィスなど。その日の気分やスケジュールによって場所を選びます。

昨日は図書館にでかけました。ここにはドロップイン利用のコワーキングスペースがあり、思う存分、自分の作業に没頭できます。窓側に面した居心地のよいデスクに座って、おもむろにカードたちが入ったクリアケースを開き、「あの人に、どのカードを贈ろうかな……」と思いを巡らせる時間もまた、楽しいもの。

裏面が凹まず、華やかに浮かび上がる「浮彫和紙カード」

まずは広告会社勤務時代にお世話になったH先輩の顔を思い浮かべ、「はいばらカード 浮彫和紙『重陽』」をチョイス。H先輩が社長兼コピーライターとして経営する広告制作会社が10周年を迎えたので、そのお祝いメッセージをしたためます。おしゃれでかっこよくてセンスばつぐんのH先輩は、私にとって憧れの女性。「コピーライティングには、人や社会を動かすチカラがある」という言葉は、当時の私の胸にぐぐっと刺さり、今も大事にしています。

「はいばらカード 浮彫和紙」シリーズは、特殊技法で手漉きした上質な越前和紙に、榛原千代紙のオリジナル文様を“浮き彫り”にしたもの。“浮き彫り”といっても、よく目にするエンボス加工ではありません。エンボス加工の多くは、通常凸凹の金型を使って、上下から挟み込んで作るため、裏側に凹みができますが、はいばらのカードは、裏面が凹んでいないのです。

これは特殊な技術を使った企業秘密のため、どうやって作られているのか詳しくは語れませんが、華やかで愛らしい文様がふわりと立体的に浮かび上がる、味わい深いカードなのです。また、“浮き彫り”だけでなく、和紙本来の質感が楽しめる、“耳付き”(漉いた和紙の端の部分を切り落としていないこと)なところも、このカードの魅力をさらに引き出しています。菊をモチーフにした『重陽』のほか、雪をあしらった『六花』、金魚が涼感を呼ぶ『金魚』、桜が描かれた『縞に桜』などのラインナップがあるので、お祝いのメッセージやプレゼントに添えるほか、季節のお便りにもおすすめです。

品の良い“パール箔”に心ときめく「色硝子カード」

さて、次に取り出したのは、もうすぐ誕生日を迎える妹に贈る「はいばらカード『色硝子(いろがらす) 雪』」。さっそく万年筆で「お誕生日、おめでとう! 日本橋ですてきなフレンチレストランを見つけました。今度、おいしいご飯を食べに行きましょう」と、お祝いのメッセージをつづります。

この「色硝子」カードは、和紙でなく上質な洋紙が使われています。“箔押し”という加工技術を使い、榛原千代紙の代表的な「色硝子」文様をあしらっているのが特徴です。“箔押し”は通常、デザインを目立たせたり高級感を出したりするために用いられます。このカードは「パール箔」(透明のフィルムにパール印刷がかかったもの)を使って、「色硝子」のデザインがパールのように品よく浮かび上がるよう、工夫されています。
お祝いのメッセージをつづるほか、結婚披露宴の招待状、企業のフォーマルな挨拶状など、幅広く使えるカードですね。榛原が日本橋本店を新装したときのお知らせにも、「色硝子」のカードが使われたそうですよ。

たおやかな日本画の「玉紅カード」や、榛原デザインを配した美しいハガキも

3つ目に取り出したのは、「はいばらカード 玉紅シリーズ 蘭」。ふだん遠方に住んでいて、なかなか会えない祖母に贈るために、日本画で描かれた美しいカードを選びました。「玉紅シリーズ」は、「蘭」のほか、「桜」「梅」「藤」「薔薇」「鳥」の6柄がそろいます。桜の画家として名高く、四条派を正統に受け継ぎ日本画の指導に貢献した、田中玉紅の筆によるもので、榛原のロングセラー商品のひとつ。昔からのファンも多くいらっしゃるそうです。
お見舞いや季節のお便りのほか、「鳥」の柄はウエディングに、「梅」は新年のご挨拶にも使用されるとうかがいました。

さて、さいごは、最近転職して、新たなステージを歩き始めた友人に「絵はがき 『笹桐 寿帯鳥(竹三号)』」(綾岡有真)を使って、「これからもずっと応援しているよ!」とエールを送ります。昔から神聖な植物とされていた竹と桐、伝説上の鳥である“寿帯鳥(じゅたいちょう)”が描かれた、縁起のよい吉祥文様です。

榛原のはがきラインナップには、ほかにも、榛原オリジナルの図案をあしらった、魅力的な商品がたくさんそろっています。和紙でできたもの、メッセージを書くための余白を多くとったもの、全面に絵柄をあしらったものなど、相手や目的に合わせて選べるところがいいですね。

いつも自宅で手書きメッセージをつづっている方は、ぜひ一度、外に出かけて書いてみてはどうでしょう。非日常の空間で、非日常のワクワク感を醸し出すカードに、相手を想いながら文章をつづる。きっと、いつもより鮮度の高い、美しいことばが生まれてくるような気がします。

絵はがき「笹桐 寿帯鳥(竹三号)」<綾岡有真>
榛原製 絵はがき 柴田是真「花くらべ」
木版手摺絵はがき 「夢二の旅」
絵はがき「さくらんぼ」<伊藤綾春>

記事で紹介した商品

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2022.11.15

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この記事を書いた人

小川 こころ

文筆家、ライター、文章講師。「文章スタジオ東京青猫ワークス」代表。

人やものが織りなす物語やかけがえのない瞬間を、ことばや文章で伝えることに情熱を注ぐ。手書きが好き、紙モノ大好き。新聞記者やコピーライターを経て現職。まなびのマーケット「ストアカ」にて4年連続アワード受賞。著書は『ゼロから始める文章教室 読み手に伝わる、気持ちを動かす』(ナツメ社)。

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