【秋を愛でる】小さなパン屋の季節の手仕事『パンと一緒に届ける思い』-秋-

四季の暮らしと榛原
2022.09.15

目次

味覚の秋

小さなパン屋の秋は、仕込み!仕込み!仕込み!
休日ともなれば、台所にこもって、秋の食材と格闘です。
いちじく、栗、りんご、さつまいも……と続き、
ジャムやペースト、コンポート等々、旬の食材を違ったカタチに変身させていきます。

暑い夏に食欲ダウンしていたお客さまも
この“秋の味覚”のタイミングで、食欲も復活し、ご来店くださいます。
私も気合十分で仕込みに励み、秋のパンを作っています。

一番人気は「くりのパン」。
うれしい反面、実はこの栗の手仕事が一番厄介!

仕入れた栗は、冷蔵庫で熟成させます(これで甘味がアップ!)。
仕込みの前日からお水につけ、ゆでること1時間。
ゆであがった栗の実をとり出し、牛乳ときび糖で煮詰めて、最後はミキサーで仕上げて完成。
以前は、皮をむいたり、裏ごしもしていましたが、今は少し手抜きも覚えて、毎年定番の栗のペーストを作っています。

手仕事にこだわる意味

わざわざ手作りしなくも、売られている世の中。
素材にこだわった、美味しいものもたくさんあります。

いちじくを仕入れなくてもいちじくジャムを買えばいい。
栗を仕入れなくてもマロンペーストを買えばいい。

そう思いながら、手仕事にこだわるのはなぜか?

同じレシピをつかったジャムも、オートメーション化の中では同じジャムになります。むしろ、そうでなければいけません。

でも、人が作ると違います。どんなに同じレシピを使っても違うジャムになる。
それは、人の手がはいるからです。
作り手の「個性」が、そして「思い」が、あらわれるからだと思います。

これも小さなパン屋だからできる、思いの伝え方ですね。
手仕事にこだわる理由なのです。

秋のメッセージカード

一度チャレンジしてみたかった「芋判」。
愛用している「ちいさい蛇腹便箋」に、秋の風を吹き込んでみることにしました。
といっても、作り方は簡単です。
お芋の断面に、栗の絵を描いて、彫刻刀で線を掘っただけ。
栗色のスタンプを使うと、ほらこの通り!栗に見えませんか?

栗のハンコを買わずに、こんな風に、ちょっとひと手間かけて芋判をつくる。
カッコよさはないけれど、他にはない、味のあるメッセージカードができあがりました。

秋のパンと一緒に届けたい思い

いつも以上に手仕事が感じられる秋のパン箱。
懐かしい母親のような、やさしい温かさを伝えたい。
それは甘すぎない、素材の味から感じていただけるかもしれません。

くりのパンを、丸ごとガブッとかじってみる。
ひと口もぐもぐ、ふた口もぐもぐ。
口の中いっぱい、「栗」そのものが広がることでしょう。

おなかもこころもあたたかになってくださいね。

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この記事を書いた人

タバタユミ

パンと雑貨のお店Potluck*ct(ポットラック)パン焼きビト。
25年余り、企業の保健師として働いたあと、「いつかどこかでパン屋さん」という長年の夢をかなえました。前職の経験や薬膳を取り入れながら、日々パンを焼き、伝えたい思いを文章や声にのせて発信しています。黙々とつくることが好きで、編み物歴は20年。最近は、水彩色鉛筆にハマり、つくったパンを描いています。

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