【秋を愛でる】もみじのように舞い落ちる、アイディアのつかまえ方

四季の暮らしと榛原
2022.09.11

秋晴れの休日、近所の公園でノートを開くと、はらはらともみじが舞い落ちてきた。地面に散らばる落ち葉に目をやると、形はもちろん、色もさまざまなものがあることに気がつく。黄色に赤、橙色、深い緑色、キャメル色……。美しい落ち葉を拾い集め、ノートのあいだに挟みこんだ。

私が公園を訪れた目的は、先日視聴した動画の影響を受けたからだ。「なぜ、新年の目標を正月に決めてはいけないのか? その答えは、新年の目標を新年に決めるのでは遅いから」という、いたってシンプルな内容だったが、確かにそうだよな、と妙に納得した。

目標というものは、いざ考え始めるとなかなか決まらない。動画では、「小さい目標と大きな目標を決めるための準備に、2か月はみておいた方がいい」と提案していた。つまり、「来年の目標を決めるのは、10~11月の“秋”が最適」というわけだ。また、目標を立てるときはデジタルではなく紙に手書きすることも重要なポイント。つねに携帯できるものに書き、“いつでも見られる状態”にするのが目標達成の秘訣らしい。

そんな話を聞いた単純な私は、さっそく、日本橋にある「榛原」に足を運んだ。大事なことを書くときは、その辺のノートではいけない。美しい千代紙を表紙にあしらった、持ち運びに便利なサイズの「榛原ノート」が私のお気に入り。桜や菊、雪の結晶をモチーフにしたものなど、多様なデザインのバリエーションの中から、今回は、“白・薄い青・群青”の3色のコントラストがひときわ目を引く「榛原ノート 組木」を選んだ。

私の住むエリアには、大通りを挟んで、北と南に対照的な2つの公園がある。北は、外周1Kmの歩道をランニングする人が多く、中央には運動器具もある“動”の公園。一方、南には池の周りに大きな岩や松がある。滝の流れも心地よく、日本庭園を感じさせる“静”の公園だ。

私はもっぱら南へ。風流な公園の緑道をゆっくり周るのが、定番の散歩コースだ。とくに秋の公園はいい。上空の青と白の周りを、銀杏やたくさんの木々が赤や黄色に染め、いつもの散歩をより楽しませてくれる。

さて、公園のベンチに腰掛け、榛原ノートを開く。1ページ目の黒い紙をめくると、これから“新たな物語が始まる”ようなワクワク感が。肝心のノートは、書籍にも使用されている上質な紙なので、どんなペンでも書きやすい。

葉の擦れ合う音や水のせせらぎにじっと耳を傾けると、思いがけない発想がふってくるから不思議だ。でも、アイディアには、時間制限がある。忘れないように、頭から消えてしまう前に、言葉の断片をノートに書きしるす。榛原ノートは、気まぐれにふってくるアイディアを受けとめてくれる“堤防”なのだ。

ひんやりとした秋風が吹く。ノート越しに、色鮮やかなもみじが舞い落ち、思わず目を奪われる。風雨に耐えた葉がさまざまな色彩に変化するように、私もまだまだ変われるだろうか。

日々の発想の備忘録と来年に向けた目標。
アイディアの種を書き記すのに、これからも榛原ノートは欠かせない。

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この記事を書いた人

井上知樹

ライター。
ものづくりサラリーマンから、50社への応募のすえ、コピーライターに転身。インタビュー記事や動画のシナリオ、たまに声優もこなします。『若者を考えるつどい2022』エッセイコンテストにて奨励賞を受賞。「観る側じゃなく、演じる側に」がモットーで、音楽にも再チャレンジ中!ハムカツとロックを愛する、歌う共感ライター。

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