ボランティアしたい人と、ボランティアしてほしい人を繋ぐ、コーディネーターをしている。それぞれの話を聞き、組み合わせを考えて、紹介する仕事だ。
たとえば、ボランティアしたいAさん。お子さんが今年、社会人になったという。
「子育ても終わったし、次は若い世代のお手伝いができれば。ずっと無我夢中だったけど、終わってみると寂しくてね」と優しく笑う。
そして、ボランティアしてほしいBさん。幼稚園に通うお子さんと、お腹に赤ちゃんがいるママさんだ。元気いっぱいのお子さんは、幼稚園の帰りに公園で遊ばないと気が済まないという。
「思う存分、遊ばせたいけど、お腹が大きくなると辛くなって。ママ友にいつも頼るのも申し訳ないし……。週に1、2回でも、ボランティアさんにお迎えと公園遊びをお願いできたら助かります」と少し弱々しく笑う。
そんなBさんに、Aさんを紹介するのはどうだろう。
やりとりは電話やメールが中心だが、初めての顔合わせのときは、事前に確認事項が書かれた書類を郵送する。書類に添える手紙は、wordで文書を作って使いまわしてもいい。でも、わたしは一筆箋を使う。季節ごとの絵柄が揃う竹久夢二デザインの一筆箋が、お気に入りだ。
おふたりを思い浮かべながら、一筆箋を選ぶ。
暑い夏が過ぎ、いつの間にか虫の声が聞こえるようになった。そう、萩の絵柄はどうだろう。
ガーデニングが趣味というAさん。萩は、お好きだろうか。
忙しくて季節を楽しむ余裕がないと話していたBさん。少しでも秋を感じていただけたら。
ボランティアの主役は、もちろんAさんとBさん。わたしは、あくまで黒子。
だから、手紙に自分の想いを書くことはしない。簡潔に、必要な事柄だけ。そのかわり願いを込める。
Aさんの優しい笑顔が、頑張っているBさんの心を癒しますように。
Bさんと元気なお子さんの姿が、Aさんの寂しさを埋めますように。
初めての人と会うときは緊張するだろう。
どうか、優しい和紙の手触りと温かみのある夢二の絵柄が、少しでも緊張をほぐしますように。
そして、おふたりの出会いが素晴らしいものとなりますように。
そんな願いを込めながら、一筆箋に文字を綴る。時候の挨拶と、送付書類の説明と、最後にひとこと。
「ご紹介できる日を、楽しみにしております」