パン屋の夏
パン屋の夏は厳しい。
お客さまの足が遠のく時期です。
どんなにパンが好きでも
夏の暑さに食欲はなくなり
同じ糖質仲間である、のど越しのよい麺類たちに、
人気を奪われてしまいます。
どうしたらお客さまにご来店いただけるのか…
そして、注文してもらえるのか…
小さなパン屋に限らず、パン業界の夏の悩みなのです。
そこで最近、よく目にするのは
「サマー●●」
「冷やし●●」
●●には、もちろんパンの名前が入ります。
見覚えありませんか?
いつものパンを夏っぽくアレンジしたり、
冷やすことでおいしく食べられる工夫をしたりする、
そんな傾向があります。
小さなパン屋も「工夫」して、厳しい夏を、“乗り切る”ではなくて、“楽しむ”ことにしました。「何ごとも楽しむ気持ちで!」これが、小さなパン屋のモットーでもあります。
クロワッサン オ ザマンド
「クロワッサン オ ザマンド」(ザマンドに省略します)というカロリーもお値段もリッチなパンがあります。
クロワッサンをシロップに漬け、アーモンドクリームを中に挟んで、さらに上からもアーモンドクリームをかけて焼き上げるパンです。
このザマンド、温めて食べる方が多いのですが、実は冷やしてもおいしいことを発見しました。冷やすとバターがキュっとしまった感じになって、この食感がたまらなくよいのです。
この夏も、「冷やしザマンド押しでいこう!」と、準備をすることにしました。
冷やしザマンドあります
メッセージカードとお店のPOPづくりに、「ちいさい蛇腹便箋」を使いました。
貝殻の地模様が夏らしくてかわいい。メッセージカードは、カタチをブック風にして、夏のマスキングテープで飾りました。
次にPOPづくり。
いつもは、使う大きさに合わせて、ミシン目で切っている蛇腹便箋。この使い勝手が好きなのですが、せっかくの蛇腹、これを生かせないかな…と考え、大胆にもこのまま使ってみることにしました。
蛇腹が上下にスイングする感じが可愛い「蛇腹POP」です。
蛇腹に書いた文字は……「冷やしザマンドあります」。
『冷やし中華あります』をイメージしてみましたが、わかりましたか?
100点のできとは言えませんが、手仕事の『味』として、お客様に興味をもって頂こう!笑って頂こう!と、結構気に入っています。
パンと一緒にとどける思い
昔は、パンを冷やして食べるなんて発想は、私の中にありませんでした。
それが、このパンを通して変わり、ザマンド以外にも、クリーム系のパンは冷やしてもおいしいことがわかりました。
じつは、一緒にお店を運営しているスタッフが発見して、教えてくれたのです。
「パンは温めるのも」と思い込んでいたので、半信半疑で試してみたのですが、「え?おいしい!」ほんとにびっくりしました。
この驚きを、お客さまにも味わって欲しい! そんな気持ちで届けます。
「だまされたと思って、試してみてください。
きっと、新しい夏のデザートに出会えるはずですよ。」