BRAND STORY07

アポロ11号で宇宙にいった、
はいばらの計測記録紙

目次

榛原(はいばら)の歴史には、「日本でいち早く」というエピソードがたくさん登場します。
「日本でいち早く庶民に向けて雁皮(がんぴ)紙を販売した」
「日本でいち早くクリスマスカードを取り扱った」
「日本でいち早く官製はがきを製造した」

今回紹介するのは、「日本でいち早く、計測記録紙の製造に成功した」エピソードです。

「計測記録紙」とは、温度、湿度、圧力、流量、化学成分、水位、風向、風速など、データの計測値を記録する用紙。
現代では、鉄鋼、化学、電力、ガス、自動車、製紙、製薬、食品、ITといった幅広い分野で使われています。また、環境保護における「大気汚染測定用紙」、 気象観測のための「温湿度計用紙」、医療機器に使用する「心電図用紙」、「脳波計用紙」、「分娩監視測定用紙」など、私たちの生活に身近な場面でも必要とされています。

なぜ、榛原が記録紙の開発に関わることになったのでしょう。
その理由は、江戸の創業期にさかのぼります。江戸期より榛原は、多くの絵師たちと和紙製品を生み出してきました。この職人たちの罫引き技術(正確に下絵を作るために肉筆で描いた、方眼用紙のような線のこと)を発展させたのが、記録紙の原型になったといわれています。

1919(大正8)年、それまで海外からの輸入に頼っていた計測記録紙の製造に、榛原は日本でいち早く成功。
さらに1966(昭和41)年、初めて「折畳み式記録紙」の自動折生産方式の開発に成功しました。この「折畳み式記録紙」は、諸外国にも採用され、現在も世界における記録計の主流になっています。

そして1969(昭和44)年。榛原の作った高精度の計測記録紙は、湿度の変化にも収縮しない点が決め手となり、アポロ11号のデータ記録用紙として採用され、はるか彼方の宇宙へ。世界中の人たちが注目する中、人類発の月面着陸を果たしました
榛原の記録紙は、月面から持ち帰った岩石を分析する計測器のデータ用紙としても大活躍。人類の歴史に新たな1ページを綴る、大きな仕事を成し遂げました。

国内外で高い評価を受ける、榛原の記録紙

はいばら×蛇腹便箋が生まれた理由

昭和期の榛原が生み出した、ユニークで便利な大ヒット商品

一筆箋にも長文の手紙にも使える、長~い便箋

折り目ごとにミシン目が入っており、メッセージを書き終わったところでピリリッと切り取れる、ユニークな便箋といえば・・・・・・
そう、昭和期の榛原を語る上で欠かせない、記録計測紙に続く大ヒット商品、「蛇腹便箋」です。

「蛇腹便箋」の発想のもととなったのは、榛原が創業期から取り扱っていた手紙用の「巻紙」や、和紙や書物、経本を正確に「折りたたむ技術」です。

しかし、1981(昭和56)年に、初めて「蛇腹便箋」を発売した当時、今のような人気商品ではありませんでした。
当時のようすを、榛原の吉松博取締役はこう振り返ります。

「おもしろいアイディアだ、と意気込んで開発しましたが、最初はなかなか売れず、苦戦しました。しかし、少しずつ、取引のあった企業から注目されはじめ、『使い勝手のよい、おもしろい便箋だね』『わが社の宣伝ツールや記念品として使いたい』と声がかかるようになったのです」。

こうして「蛇腹便箋」は、階段を駆け上がるように、榛原の人気商品へと進化していきました。
平成の後半に入ると、印刷加工技術をより精錬させ、それまで柄を入れることができなかった便箋に、代々受け継がれてきた榛原デザインを印刷することが可能となり、機能性やデザイン性を備えた、洗練された商品が次々に生まれました。
このような経緯で誕生した、新しい蛇腹便箋シリーズは、2012(平成24)年グッドデザイン賞、第19回日本文具大賞デザイン部門優秀賞などを受賞しています。

また、さまざまな場面でお使いいただけるよう、「ちいさい蛇腹便箋」「横書き蛇腹便箋」などのバリエーションも増え、蛇腹便箋の可能性はどんどん広がっています。

現在では、榛原を代表する商品となった「蛇腹便箋」。
一筆箋のような、ちょっとしたメッセージはもちろん、長文で綴る手紙にも。
大切な人とのコミュニケーションがより豊かに、より味わい深いものになりますように、これからも、みなさまの暮らしに身近な存在でいたいと思っています。

「蛇腹便箋」花あそび
「蛇腹便箋」瓢箪
マッチ箱のようなケースに、ぽち袋とセットになった、手のひらサイズの「ちいさい蛇腹便箋」

記事で紹介した商品

オンラインショップの特定商取引法に基づく表記をご確認のうえご購入ください。

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この記事を書いた人

小川 こころ

文筆家、ライター、文章講師。「文章スタジオ東京青猫ワークス」代表。

人やものが織りなす物語やかけがえのない瞬間を、ことばや文章で伝えることに情熱を注ぐ。手書きが好き、紙モノ大好き。新聞記者やコピーライターを経て現職。まなびのマーケット「ストアカ」にて4年連続アワード受賞。著書は『ゼロから始める文章教室 読み手に伝わる、気持ちを動かす』(ナツメ社)。

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はいばら
ブランドストーリー

粋な江戸っ子をうならせた、
はいばらの雁皮紙(がんぴし)

海を越え、ヨーロッパに渡った、榛原の和紙

一流の画家との交流を深め、
『はいばら デザイン』の礎を作る

手紙文化を日常に。郵便の始まりを支えた、
はいばら製の官製はがき

文豪たちが語る『はいばら』
〜心ときめく千代紙や便箋

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